時代は昭和初期、北海道室蘭にあった、幕西遊郭。様々な事情から身売りされてきた少女たちの人生を丁寧に、時には残酷に描いているのが「親なるもの断崖」という漫画です。道子、松恵、武子、梅の四人の少女たちは青森から、幕西遊郭の富士楼にやってきました。時代は戦争真っ只中。辛い貧困の時代です。男は戦地へ赴き、女は家族を守っている。そんな中、身売りされていく少女たちもいました。「親なるもの断崖」の中では、女はひたすら悲しいものとして描かれています。女郎を選んだお梅は幕張遊郭の富士楼で一番の売れっ子になりますが、体を売っても売っても借金が減らないという生活です。漫画ではありますが、リアリティのある描写で読んでいると胸を締め付けられます。
売れっ子女郎となったお梅ですが、それでも医師の卵の中島惣一と恋に落ちます。恋を知っても尚、彼女は決して幸せではありませんでした。恋に落ちても地獄を見るのが、この「親なるもの断崖」で描かれる女の人生です。親なるもの断崖漫画
それでも尚懸命に生きた女性たちの姿に、胸が熱くなります。
読んでいて本当に辛くなるシーンの続く漫画です。それでもきっと戦時中、日本の各地でこういったことが、いくつも起こっていたんでしょうね。だからこそ、決して目を背けてはいけない。「親なるもの断崖」は、私たち世代が読まなければいけない漫画だと思います。読み終わった後は不思議な充足感に浸ります。
戦後、幸せな時代になっても、忘れてはいけないものがある、伝えなければいけないものがある…そういった作者の曽根富美子先生の気持ちが伝わってくるようでした。